スタディサプリ English (新日常英会話)の効果的活用法

Jul 4, 2021/ 更新日:Jul 26, 2021

前回、「スタディサプリ English (ビジネス英語コース)の効果的活用法」という記事で、ビジネス英語コースについて紹介した。 一方で、今はビジネス英語の優先度は高くない、むしろ普通に海外で生活できるように、英会話を数多く身につけたいという人も多いはずである。以下スタサプと称する。

今回は、前記事のスピンオフとして、新日常英語コースの効果的利用法を考えてみる。 新日常英語コースビジネス英語コースの大きな違いは、スクリプトである。 学習方法やシステム、アプリの使い方などは何ら相互で変わらない。 しかし、登場する英会話のシーンや、キーフレーズ、英単語などは当然違うものになる。内容も単語のレベルもビジネス英語コースの方が高レベルではあるが、実践的に普段遣いできる英語を学ぶなら、新日常英語コースの方が効率的である。 このページでは、前提として新日常英語コースの方をベースにチェックしていくので、ビジネス英語コースの方に興味がある方は、前回のページを参考していただきたい。

前回の記事と重複する箇所もあるが、スタサプの何を推しているかを再確認しておく。

  • オンライン英会話と自学自習アプリがセット
  • クイズ形式で時間を取らない瞬間学習
  • 合間時間に単語・イディオムチェック(ただしコツが必要)
  • キーフレーズチェック
  • 重要表現チェック
  • オンライン英会話は回数無制限
  • 追加料金無しの月額5,478円のみ

内容を考えると、月額5,478円は安く、英語学習を継続している人には、オンライン英会話に2日おきに参加するだけでも、2週間もせずにモトが取れてしまう。

スタディサプリ English 構成概要(w61z.com 作成)

スタディサプリ English 構成概要(w61z.com 作成)

もう少しわかりやすく簡略化して説明すると、スマホやPCアプリで供給される部分は株式会社リクルートが提供するスタディサプリ English、オンライン英会話の部分はネイティブキャンプ(NativeCamp)が提供している。がさつに表現すれば、この2つの抱き合わせ販売ということにはなるが、カッコよくオススメ風に言えばタッグを組んだという表現になる。 しかし、消費者にとっては、提供される内容が支払金額に見合うものなのかということが重要であり、それ以外の部分は利用する側の工夫次第でなんとでもなるのが現実である。念の為、このスタサプをこなすだけで、英語ができるようになるという、夢のような教材ではない。ゲーム感覚で学べるなどとうたっても、実際のゲームなどに比べれば熱狂度は低く、アプリ中毒になってしまうほどのものではない。 結局、他の教材と同じく、単語やキーフレーズは地道に覚えていくという作業が欠かせず、英会話がうまくなるにはやはり英語を(話してみるなど)実践的に使わない限り、目立って上達するものではない。

新日常英語コースは誰に向くサービスなのかをチェック

公式(株式会社リクルート)に新日常英語コースがターゲットにしている人は以下のような希望がある人である。

  • 趣味で英語が話せるようになりたい
  • 海外旅行に行った際困らずにコミュニケーションを取れるようになりたい
  • 議論するほど本格的な英会話は必要ないが、英会話初心者ながら仕事で英語を使う
  • 中学英語レベルすらできないが、基礎から学びたい

別に大した内容はないが、要は「英語に慣れたい」人向けのプランである。 詳しく図示してみると次のような感じになる。3つ以上にに当てはまれば無料体験を試してみることをオススメする。

スタディサプリ 新日常英会話概要(w61z.com 作成)

スタディサプリ 新日常英会話概要(w61z.com 作成)

多くの教材同様、英会話のスクリプト自体は大して面白くない(個人的感想)ので、調子の悪い時に読んで眠気を誘わないとまでは言えない。 ただ、売り文句では「ごくせん」を手掛けた有名脚本家の書き下ろしストーリー教材を使用といいうことにはなっている。他の類似の教材と比べて、多少なりともストーリーに力を入れていることは伺える。

それでも私的に魅力を感じている点は、以下の点である

  • スキマ時間で効率的に単語やキーフレーズを食いつぶしていける
  • 24時間好きなタイミングでオンライン英会話に何度でも参加できる

オンライン英会話は、台本(スクリプト)に沿って練習するタイプのものだが、講師とちょっとした雑談になる数秒が抜群に学習の助けになることが多い。ほんの数秒であっても、実践的に会話フレーズを身につけることができるのである。

ただ、注意点として「単語の食いつぶし」はスマホに英英辞典、もしくかネットで英語辞書にアクセスできる環境になっていないと、本サイトで奨励している英語脳的食いつぶしはできない。

なお、「ストーリーのある教材で飽きずに楽しく学びたい」という売り文句も並べられてはいるが、読書家や映画好きの人からすれば、有名脚本家の作品であろうとも、よっぽどの力作でもないかぎり、飽きずに楽しさが継続するとまではいない。そこは期待しすぎないようにしよう。

月額料金の安さを再チェック!

月5,478円ですべてのサービスが受けられるということ自体は事実である。しかし、これは(6か月パック)の場合であることに注意しよう。つまり、6ヶ月一括払い(約33,000円)した場合のお話である。

1ヶ月で割ると安いとは言えるが、もしも途中で飽きてしまって、2ヶ月間も続けられないというようなケースに落ちいった場合、割高感が急激に増してしまう。そのため、一見安く思えても、7日間無料体験などにしっかり参加して、自分に教材が向くのか向かないのかを見極める手間は惜しむべきではない。念の為、何の縛りもない月払いにすると、月額6,028円になる(つまり、月当たり500円高くなる)。

割高にしないための支払いの心得

オススメはしないが、オンライン英会話は不要、使い放題な自学自習アプリだけ利用できればいいという人は、ベーシックプランというものも用意されている。 アプリだけ使うのだから、例えば iPhone ユーザーは App Store からダウンロードして、アプリで課金するというようなことをやってしまいがちである。

このアプリ内課金については、オススメしない。ベーシックプランでも、12ヶ月パックなら月額1,738円、6ヶ月パックなら1,958円、縛りなの月払でも2,178円の支払いで済むものを、App Store 経由していまうと2,500円になってしまう。

結論としては、どのプランを始めるにしても、スタサプのWebページから申し込む方が得になる。予備知識としてチェックしておこう。

新日常英語コースのレベルをチェック

中学生の教科書レベルという印象である。だが、会話文なのでそのレベルで適切である。 英文法は初歩的、あとは決り文句など、ひたすら使って覚えるものが多く網羅されている。

このコースは、継続して英語を身体に染み付かせるためのトレーニングという趣旨だと捉えよう。そのため、このレベルをどうのこうの議論しても英語学習の実りは少ない。出てきた単語、たとえ知っている単語であろうと、しっかり会話で使えるように覚え込むことに注力するほうが利口である。

登場する単語のすべてが簡単かといえばそうでもない。知っているつもりでも、瞬間的に思い浮かばない単語はたくさん出てくると思うので、その都度(英英辞典などで)確認する手間は惜しむべきではない。

オンライン英会話の講師は常時待機してるのか?

スタサプはオンライン英会話のネイティブキャンプとセットにしないとお得な教材にはならない。 そのオンライン英会話が24時間いつでもできるというのは、講師が常時待機していないと成り立たない。

つまり、講師は常時待機しているのである。これは、120ヵ国から迎えた(募集した)外国人講師が、ネット上で待機しているということである。

ただし、英米人が待機しているという保証はない。非公式情報ではあるが、アジア国籍の英語スピーカーが英会話講師を努めているケースが多い。アジア諸国の人々と英語で会話するケースは今後増えることが見込まれるので、この事自体はネガティブに捉える必要はない。むしろ歓迎すべきことだろう。

尚、英語ネイティブでない講師であっても、必要とされる英会話のレベルは満たしているので、英会話学習の相手としては問題ない。

NativeCamp 講師探し

NativeCamp 講師探し

もし、どうしても英米人を捕まえて英会話レッスンを受けたいなら、国籍や性別等で検索できるので、自分がオンラインになるタイミングをコントロールできればなんとかなる。 余計なことだが、英米人講師だからといって、会話相手として優れているとは言い切れないことは頃得ておこう。 私の拙い経験からは、ポーランド国籍の英語学習者は優秀な人が多いように感じる。個人的にはハズレを引いた記憶がない。夜中の3時頃に英会話したくなったりしたら、試しに相手として選んでみると良い。

地道に調査したスタサプQ&A

スタサプは安いのだが、その安さゆえ予め受講者が心得て置かなければならないことがある。前回の記事、「スタサプ(ビジネス英語コース)の効果的活用法」で書ききれなかった、ちょっとしたQ&Aをまとめておく。 公式回答と明示的に表記したいないものは、個人的な感想および評価、口コミからの情報である。可能な限り信頼の置けるデータを使用しまとめた。

新日常英会話セットプランのレベルを具体的に知りたい

公式には英検3級〜1級相当ということになっている。 アプリから学ぶ単語などは、高校生までの復習に近いレベルである。しかし、本セットプランの意味は、生会話を英語でできるかどうかにあるので、「当たり前の表現を当たり前にいつでも使える」ようになることにある。

TOEICなども見据えたい場合は、ビジネス英語コースを選ぶほうが単語のレベルも上がる。その一方、日常会話で当たり前に使えるべき表現は少なめに調整されていることも注意しよう。

英会話レットンが早く終わったら、雑談できるのか?

講師と英会話のレッスンをしたが、時間が余ってしまったような場合、雑談で残り時間を消費しても良い。ただし、できる限り「発音」と会話がうまく噛み合わなかった点などの質問タイムにするのが利口だと思う。 ただし、暇なときなど「いますぐレッスン」は回数無制限で使えるので、気兼ねなく使い倒して問題ない。

一週間の理想的な学習時間は?

英語というのはは学習すれば学習するほど上達するとは言い切れないが、英会話に関しては回数をこなすほど上達する。この考え方だと、一日一時間程度かと考える人が多いかと思うが、公式回答では「一週間に3時間ほど」と控えめの学習時間である。

当サイトとしては、学習時間は一日一時間を目安にすることをおすすめする。

レッスン以外のことを講師と話してもいいのか?

例えば最近観たの映画のセリフについて、講師と語りたいなど、基本は許される。 しかし、レッスンが終わった後の余り時間で行うことである。レッスンをすっ飛ばして、自分の話題ばかり話すなどということは許されないので、この点は抑えておくべき。

尚、講師が映画に興味がなかったり、ポエムができなかったりなど、英会話レッスン以外の技能はレベルが保証されていないので、この点は心得ておこう。

紙に印刷したテキストは入手可能なのか?

原則オンラインで完結するするレッスンなので、紙媒体のテキストなどは存在せず、入手もできない。

海外からも受講可能なのか?

「(公式回答)サービス提供は国内限定です」とのことである。 非公式にはなるが、VPN 経由で海外から使うことも、物理理的には可能である。 公式回答は、今後積極的にVPNを閉じていくとまでは言及していないが、VPNが途中で使えなくなる可能性も含めて、自己責任ということになる。

効果的スタサプ活用法

まず、スタディサプリ Englishはどのようなもので、どのように使えば効果が期待できるかという例を考えたい。あくまで例なので、英語独学者は、各自で自由にアレンジして自分になじませる教材にする技術が、英語独習者には必要とされる。ここでは、その一例を考えてみる。

本サイトを、初期から熟読されている方は、なぜ日本語を介してわざわざ単語を覚えるのか、そもそも日本語を介することを奨励していなかったではないかと、懸念するはずである。 もちろん、その通りで、それは今も変わらない。だから、本アプリを使いこなす際には、できる限り日本語部分を無視して、英語だけで押し通すのが、奨励される活用法である。

スタサプ リード&ルックアップ

スタサプ リード&ルックアップ

上の図を見てほしい。「リード&ルックアップ」という、ただ英文を音読するだけのトレーニングだが、基本的には日本語は見なくていい。目には日本語部分が自然と入ってくるが、英文と音声だけに集中して学習を進めよう。 日本語の部分は、心配しなくても、力がついてくれば自然と無視できるようになる。英文の情報は、最終的にその英文からでしかニュアンスはつかめない。日本語に頼ってしまっては、結局日本語を英語で表現する学習目的にシフトしがちになる(この事自体は、わかってやっている分には問題ではない)。

今回は英会話のセットなので、オンライン英会話を始めれば自然と英語だけで処理することになる(矯正される)。そのため、テキストやスクリプトに日本語で書かれている部分があるなどという理由で、ダメだと判断する必要はまったくない。 要は、この部分は使い方の問題に過ぎず、利用者側がどうにでもコントロールできるものである。

キーフレーズチェック

キーフレーズチェック

上のキーフレーズチェックの動画も、画面横には日本語が出てくるが、講師は日本語を話さない。 そのため、講師が英語を話している間に、わざわざ日本語を読みに行くような、変な注意力の使い方をしない限り、日本語を介在させることによる弊害は抑えられる。これも、慣れてくると、アタマが普通に日本語の部分は無視するようになる。

その他、英語を聞き取り、アプリ内でそのまま英文をタイプする(ディクテーション)というトレーニングもあるが、日本語が介されるのは「問題文」の部分だけである。トレーニングそのもの日本語を介するところはない。 (日本語テキストでの解説はあるが、読み物として読む分には問題ない)

設問の例

設問の例

全体としては、設問は日本語になっていることもあるが「英語」で答えるものが大半である。日本語を一切介さないという原則からは少しずれてしまうが、コアな部分は原則どおり英語でそのまま解釈することになる。

単語・イディオムチェック

単語・イディオムチェック

残念な箇所もある。 上図の「単語・イディオムチェック」は英単語を確認して、それを表す日本語を選ぶという、時代遅れなものになっている。この部分は残念極まりないが、ある意味ゲーム感覚でできるところだ。 この点は、なんとか英語で同義語などの答えを選べるような改訂を強く希望する部分ではある。 チェックされる単語は語彙的には簡単だが、用法が多いものがあり、結局は英英辞典を引いて例文をチェックするということになる。スマホに適当な英英辞典を入れている人なら、単語・イディオムチェック機能そのものには頼らないと思うので、あまり気にしなくていいかもしれない。

(まとめ)活用してみたいという人は

人によっては、新日常英語コースビジネス英語コースを両方やってみたいという人もいるかもしれない。しかし、始めるのはまず一つに絞ったほうが良い。両方やって見るにしても、一方が終了してから、数日以上時間を置いて、次のものに進むべきである。

理由は、英会話部分のネイティブキャンプがダブってしまうからである。 本教材は、どちらを選ぶにせよ、英語学習のモチベーションの維持のために利用するという人が多いと思うので、ネイティブキャンプが利用可能な期間が長いほうが、その助けになるはずだからである。

全体としても、まとまっていてよくできているアプリだが、最終的には使い方次第である。 原則はオンライン英会話のネイティブキャンプとのセットで受講しないと、効果は半減する。 日本語を出来る限り介さず、英語学習に勤しむのはハードルが高いわけだが、本アプリ程度の日本語介在ぐらいだと、学習者側でいくらでも調節できる。 興味を持った方は、7日間無料体験で自分との相性を確認してみよう。