「私も」の表現、Me too or me neither を使いこなす

Aug 9, 2021/ 更新日:Dec 11, 2022

英会話そのものは、キモとなる点さえ身体に染み付かせていれば、意外となんとかなることが多い。 津田塾の創立者、津田梅子がアメリカ留学したときの経験から、最も威力のある英単語は「NO」であったと語っている。「NO」というべきときに「NO」を言わず、会釈でごまかすようなテクニックは、外国人には受け入れられない。実は今回は、そのような意志力が問題となるようなケースではなく、単に「英語を誤解してしまう」ことから「NO」と「YES」を取り違えてしまうケースに対処する。

英語は「否定表現なのか」「肯定表現」なのかさえつかむ事ができい、それを間違いなく表現(応答)できれば、会話として困らない(もちろん、断るべき場面で「ノー」といえる能力があるかどうかも大切)。

「欲しいのに」「欲しくない」と誤解して表現したり、「行きたくないのに」「行きたい」と英語力不足で答えてしまっては、ネイティブには理解してもらえないい。一方的に、「アタマのイタイい不誠実な外国人」だとしか思われない。

今回は、覚えておいて得しかしない“Me too”と”me neither”を身体に染付かせよう。

“me too” は肯定表現

I love that store's hamburgers!
Me, too! It’s delicious!
その店のハンバーガー大好きさ!
オレ(私)もさ。美味しいね!

という意味で、この程度は間違えない表現である。

しかし会話では、相手に同意ばかりしていてもはずみがない。 相手の表現を否定ばかりするよりまだマシだとしても、この手の「私も!」表現を多用するだけでは「眠い人」と理解されるだけになる。

ちょっとアレンジして、次のようにしたい場合どうするだろうか?

その店のハンバーガー大好きさ!
いや、ホットドッグがイケてるよ!

要するに「ホットドッグ」の方が大好き、美味しいよっていいたいわけである。

I love that store's hamburgers!
Not me. I like a hotdog with the works.

普通は上のようになり、この表現だと、少しやさしくなる。 念のため、”a hotdog with the works” はトッピングを全てのせたホットドッグのことで、”the works” は口語表現で「全部」という意味になる。 上の表現だと、「あの店のトッピングしたホットドッグ、(ハンバーガーより)かなりイケてる」というほのめかしがあり「あの店のホットドッグ食べたことなくてハンバーガーばかりに目が行っているなら、ホットドッグを試してみなよ、フルトッピングで」というニュアンスが伝わる。

次のようにすると、どうなるだろうか。

I love that store's hamburgers!
 Me neither.

「その店のハンバーガー大好きさ!」、「私は好きじゃない」という意味にしたかったとしたら、そようには受け取られず、変なヤツ(会話のできないヤツ)と思われる。肯定文の後に否定の応答文を返してきているので、「なんだコイツは!馬鹿なのか、ケンカ売ってんのか」と受けとるか「学校行ってないんだな」とみなすか、運が良くても「カワイソな語学力の外国人」という感じである。ドヤ顔でやってしまうと、ほぼ確実に人間関係がおかしくなる。

“Me neither” を使う場面は、相手の「否定文に同意」する時である。注意したいのは「否定的な表現に同意」する場面ではない。 やりがちな間違いとしては、次のような場面である。

I hate that store’s hamburgers!

 Me neither.

「その店のハンバーガーまずいよ!」、「同意するよ」という意味に取られるだろうか。 この会話は、日本語で考えると成り立ちそうにも思えるが、英語としてはかなり変である。 “hate”は否定的な意味だから、”neither”で答えたくなる人が多いが、”hate”は否定的な意味をもつが”否定表現”ではない。厳密には”否定形“ではないから、文としては肯定文である。だから「同意するよ」という意味で会話を成立させるには”Me too”を使う必要がある。

“Me neither”は、否定形(否定文)に対して同意するときに使う。例えば、

I don't line onion ring!
Me neither.

「オニオンリングは嫌いさ」、「私もよ」という感じである。 “Me neither.”ばかり使いたくない場合は、”I don’t either.”と表現しても良い。 あるいは、少々強く同意したいときは”Neither do I.”とすると「私も」感がよく伝わる。日本語にしてしまうと、ニュアンスがイマイチぼやけるが、「私もよ」というニュアンスはそれぞれ微妙に違う。 蛇足だが、”neither can I”、”“I can’t, either” や “I haven’t either” というパターンもあり得る。助動詞の部分はその場にあったものが入るだけである。

では、復習がてら「オニオンリングは嫌いさ」という文に対して「私は大好きよ」というニュアンスでやるには、どういう表現があるだろうか。 “Me, too!”はありえないことは、これませでの説明でご理解いただいていると思う。 相手の発話が否定形に対して、”Me too”で返すのはおかしい。この種の会話では肯定形に対しては肯定形で返し、否定形に対しては否定形で返すのが原則である。

正解は、

I don't like onion ring!
I do! It's delicious!

「オニオンリングは嫌いさ」、「何いってんの!美味しいわよ!」という感じである。

英語は動詞を見るのである。否定文であるかどうかが問題で、否定的な意味であるかどうかはどうでも良いわけだ。

準否定文に続ける場合

英語は動詞を見て、その動詞を否定するか肯定するかで返す。 次の文で「私も」とやりたいとき、何を入れればよいだろうか。

I hardly know this author.
******

動詞は”know”、で本文は否定文かどうかであるが、この文は否定文である。 hardly や scarcely などの準否定語が動詞にくっついた文は、否定文に続く「私も」ということで、解答は “Neither do I” か “Nor do I” の類しか入り得ない。”So do I”などを入れてしまうと、相手が混乱するだけである。

まとめ

Do you watch love comedy?
No. (I don’t.)
Me neither. (I also don't watch love comedy.)

「恋愛映画って観る?」「観ないな」「オレもさ」という意味になる。 あらためて言われるまでもない表現だが、実際の会話文で使いこなせている人は案外多くはない。今回の表現を100回使って、一回でも間違えたら、まだ身体に染み付いていない。 試験で間違うリスクより、実際の会話で間違うリスクのほうが現実的にはずっと恐ろしい。一通り理解できれば、後は徹底して使うだけである。

まとめ

  • “me, neither”、”I don’t either”、”Neither do I”は相手の否定文に対して同意する。