4つの心得、英語の聞き流し学習!
Mar 17, 2021/ 更新日:Apr 1, 2021
英語は聞き流すより、集中して聞くほうが、自身の英語力向上に貢献する。 一日中、英語漬けで英語を聞き流して過ごすより、一時間でも集中してリスニングしたほうが効果は期待できる。
しかし、集中して英語を聴くととても疲れる。 難易度次第であるが、真冬でも汗びっしょりになるくらいである。 そのため、集中せず、耳に当たる英語の感覚を維持するつもりで、軽く聞き流したいということは誰もが考えることである。
このページでは、たとえ聞き流すとしても、それなりの効果を狙う戦略的聞き流しのチェックポイントを紹介する。
英語聞き流しの心得4つ
適切な英語素材を使用し、適切な方法で繰り返し行えば英語を「聞き流し」ても、それ相応の効果が期待できることをご説明してきた。 しかし、当然のことだが「聞き流し」よりも集中して聞いた方が高い効果が期待できる。また、聞き流しだけでは英語は習得できないことも事実だ。
英語を効率的に習得するという観点から、第二言語習得研究で指摘されている「聞き流し」に関する注意点を4つご紹介する。
【心得1】使用素材は理解できて興味をそそるものを重視して選べ!
直感的に誰もが同意できそうなことだと考えるが、聞き流しに用いる本源素材は、自分が興味のある内容が話されていて、しかも理解できるレベルのものでないと効果が望めない。
さらに、これに加えるべきもう一つの重要な要素がある。 それは、その英語が本物であることだ。
話されている内容が興味ある内容とはどういうことか
聞き流しに用いる音源素材は、自分が興味がある内容が話されていると効果的である。 たとえば、大リーグに興味がある方は、試合内容がどうだったかとか、勝敗数など、そういった内容の音源が活用できる。 仮に聞き流して、内容の文法部分がわからなくても、少なくとも大リーガーの選手名ぐらいはわかるはずだ。 料理に興味がある方は、科学に興味がある方はそれぞれの音源を探せば良い。
内容に興味がある話が聞こえてくるというだけで、聞き流しているだけでも脳がθ波状態になることが指摘されている。 それだけで、聞こえてくる内容に関わる単語や、単語の連結ルールが頭に定着しやすくなる。
そのため、内容に興味がある素材を選ぶということは、効果に直結しやすくなるのである。
聞き流し素材は「本物」の英語である必要がある!
学校指定の教材であったとしても、日本の英語教材には実際には使えない内容で構成されているものが普通にある。 笑い話のようだが、“I am a boy / girl.”というような例文で構成されたような会話は、大人どころか子供でも使わない。
使わないということが普通に予想がつくから、自然と学習に身が入らない。 そのような分を使えるようになっても、喜びを感じないのである。
このような、普通はネイティブが使わない例文で無理やり、日本人向けに構成されたような教材は避けたほうが良い。 たとえ、その音源の発音が良くても、聞き取りやすくても、内容が理解できるものであったとしても、根本的に興味をそそられないものを使うのは、学習時間の無駄である。
独学を継続するなら、興味があるものを優先的に選ぼう。
【心得2】聞き流しの効果を狙うには、「読む」ことも同じく重要!
聞き流し音源に文字で読める英文が付属してくる場合(教材はたいてい付属してくる)は、その英文を音読するなりして、目を通しておくと、学習効率が上がる。
英語を使えるように学習するには、大量の理解できる英語に触れる必要があることは自明である。 英語に触れるというのは、「文字を読む」ことと「音声を聞く」ことが主流である。聞き流しで「英語の音声」には触れていると思う人も、「果たして理解できているのか」という点は定かではないだろう。
そのため、理解できているかできていないかが、自分で簡単に意識できる「文字を読む」という、英語体験も怠ってはならない。 文字にも日常的に触れるように心がけよう。 英文ニュースでもよし、スーパーの割引チラシでもよし、海外メーカーの製品カタログでも何でも、文字(可能な限りフレーズか文章)に触れることは、英語力を高める秘訣なのである。
【心得3】少ない定型表現を覚えただけでは、使い物にならない!
英語を聞き流すことで、定型表現を覚えることができる。このことは、使える英語を習得する上で有効でする。 しかし、定型表現を覚えるだけでは英語は使えるようにはならないのだ。
英語が使えるようになるという指標の一つは、「自分の言いたいことを自由に表現できるか」という点である。
自分の表現したいことが自由になるには、覚えておくべき語彙数、定形表現は一体どれくらいの数にのぼるだろうか。 常識的に、100や1,000といった数に収まらないことぐらい直感的にわかるだろう。 一つの音源素材で、一体何語の語彙数を習得(使えるようになった定形表現・語彙という意味)しているのかも考えてみよう。 普通に聞き流していても、使えるようになる定形表現や語彙は、実際のところ高々知れているのである。 仮に努力を重ね、2万語ほどの定形表現を覚えたとしても、それでも自分の言いたいことを自由に表現できる英語力は獲得できない。
自分の言いたいことを自由に表現できるようになるには、少々の定形表現の組合わごときでなんとかなるものではないのである。 英語学習の基本、「単語」「文法」「発音」の3つを組み合わせが活用できなければ、自身の使える英語表現は劇的には増えないのである。
逆に、上の3つを正しく組み合わせることが自在にできれば、使える表現は無限に増える。 定形表現を覚えるのは、上の3つで漏れてしまうもの、文法を介する必要がほぼ無いものをカバーする補足作業なのである。
【心得4】「話す・書く」をサボらずに「聞き流す」ことが大切!
大量に英語を聞き流して浴びるように取り入れるだけで、英語の習得ができるほど単純なものではない。 「聞く・読む」だけを大量に繰り返したとしても、相手の話がわかるようになっただけであり、自分が何をしたいのか、何を相手に求めているのかを伝えることにはならない。
「聞き流す」という、あまり労力を使わない学習をしているのだから、「脳」はまだ疲れていない。疲れていない脳を働かせて、自分の中から英語を吐き出すトレーニングも行うべきなのだ。
流暢に英語を話して、使えるようになるには、少しでも聞き取れるようになった英語を、吐き出してみることがポイントになる。 そのため、「話す・書く」というトレーニングも欠かせないものである。 これらは、野球の守備と攻撃と同様の関係にあると考えてほしい。
TOEICのハイスコアは、英語を使えることを意味しない!
TOEICで高得点を上げるには、コツがある。 そのコツを身につければ、自身の英語力の四割増しの得点することも可能である。
なぜならば、TOEIC は「読む」「聞く」能力限定の試験だからである。 時間と採点コストがかかる、「話す」「書く」という能力は試されない。
そのため、「TOEICの勉強≒使える英語の練習」というような図式は成立しないことを心得ておく必要がある。
英語は「聞け」て「話せ」てナンボの技術である
英語を聞いて理解できることと、言いたいことを話すことは異なる能力である。 事実、「話す文法」「聞く文法」は、脳内の文法処理が大きく異なるという研究報告がある(厳密には「読む」「書く」ときの文法と合わせて異なる文法処理能力が必要である)。
そして、聞く時に脳が使う文法処理機能は、実は大した働きをしてしないことも指摘されている。というのも、重要な単語を耳と脳が把握できれば、相手が何を話しているか理解できるからである。
だが、自分が話す場合はそう単純には行かない。 単語だけ並べても、道先案内ぐらいならなんとか処理できそうだが(実際はできない)、映画や最新ニュースの詳細を簡単に伝えたりする程度でも、不十分さを感じるはずである。 つまり、話す場合は、単語の意味が伝わるように配置するという、文法知識を活用せざるを得なくなるのである。
英単語は、覚えた単語の量だけを増やしても、英語が使えるようにはならない。 覚えた中から、更に厳選した単語を自分が使える単語に昇格させなければならない。 そうする方法は、「話して」「書く」という他ならないのである。
まとめ
まとめ
- 英語の聞き流であっても、適切な素材を使い、方法が理にかなっていれば、繰り返し聞くことで、相応の効果が期待できる。
- 英語を聞き流すことで、単語・文法・発音の無意識的に結びつけるトレーニングにもなりえる。定型表現や単語を覚える手段としての聞き流しは、悪くはない。