英語のシャドーイング、その効果と意義を徹底解説!

Mar 9, 2021/ 更新日:Mar 14, 2021

現在、英語を学ぶ時にシャドーイングを取り入れる学習法が普通になっている。 つまり、一般的にシャドーイングの効果が認められてきいることが伺える。 しかし、見よう見まねで、なんとなくシャドーイングらしきものをやっていないだろうか?

シャドーイングは実のところ、やり方によって効果が変わるものである。 そして、シャドーイング効果を意識してやると効率性も変わる。 シャドーイングの効果は4技能に及び、英語力を飛躍的に向上させられる最強の英語トレーニング法の一つである。

当ページでは、効果が最も望まれるシャドーイングのやり方を理解し、効率的に英語力を向上させるのが目的である。

英語のシャドーイングとは?

日中に自分の影を踏んで、歩き続けるように、音源の後1~2語遅れて、影(shadow)の様に音源通りに声に出して追っかけていくトレーニングが、シャドーイング(shadowing)である。 原則、英文は見ず、ひたすら自分の耳を頼りに聞こえる音を真似して行う。 シャドーイングは同時通訳のプロを目指す人たちの、基本中の基本トレーニングでもある。

シャドーイングは、「耳」と「口」を使って「音声」と「意味」を結びつける練習である。つまり、音声を聴いて意味を理解できるようにする練習だ。そして、単語と文法の知識を無意識的に使えるようにするための練習でもある。つまり、英語脳(英語回路)を作るための練習でもあるのだ。

シャドーイングとよく似た英語のトレーニング方法に「音読」と「リピーティング」がある。 これらも、音声と意味が脳内で融合し、単語と文法の知識が頭の中で結びつくという効果が同様に期待できる。 しかし、「音読」も「リピーティング」もきれいな見栄えの良い、練習らしき練習であり、練習している自分を意識するような練習だ。

シャドーイングは、もっとドロドロしたトレーニングで、知らない人が練習している人を観察すると不気味に映る。 見栄えだけの違いではない、シャドーイングは、聞いた英語の音声をすぐに繰り返さなければならないトレーニングである。そのため、「音読」や「リピーティング」に比べて、同じ効果であっても、その達成度は高いのである。

 難易度音声と意味をつなげる単語と文法知識が融合
シャドーイング
音読
リピーティング

英語のシャドーイングでどんな効果が望めるか?

シャドーイングで狙う効果の一つは、「音声」と「意味」を結びつけることにある。 同時に、シャドーイングで単語と文法の知識が脳内で融合するようになる。 さらに、自然と定型表現を使えるようになる。

それらの効果によって、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングの4技能の能力が格段に向上する。 もし、行ったことがない人は、試しに数週間続けてみると良い。 カタコトしか話せなかった英語が、自然と話せる感覚が、遅い人でも数週で体感できる。

シャドーイングは、音声と意味を結びつける

シャドーイングは聴いた音を、日本語に置き換えるすきを与えない

当サイトでは、途中に日本語を介さずに英語が学習する癖をつけることを奨励している。 例えば、“Apple” という音を聞いた時に脳内では果物のリンゴかiMacなどがイメージできなくてはいけない(雑で申し訳ないが、説明のために日本語を介している)。

しかし、人によっては日本語の「林檎」を連想し、「リンゴ」に連想が進むという人がいる。“Apple” のようなほぼ日本語になっているような例だと、そうではないかも知れないが、例えば “institute” ならどうだろう。まず、対応する日本語を脳内で検索する人が多いのではないか。

シャドーイングは、その脳内で検索する時間を与えない。すぐに聞いた音を口に出して繰り返さなくてはならないからである。

平均的な日本人は、英文を読めば理解できるが、聴いただけでは理解できないという人が多数である。 読みながら、頭で考えて、日本語の対応語に置き換え読み下すことは、高度な知能を持つ日本人は得意である。 例えば、全く別の言語である、古代中国の文語体を「漢文」として「レ点」などを駆使して、見事に読み切っている。 英語も同じで、書かれた原文を返り読みして語順を入れ替え、さらに日本語に変換して理解すれば、日本語と同様に内容が理解できる。

しかし、それをやってしまえば、会話やリスニングの速度についていけない。聴いただけでは理解できないという現象に陥るのだ。

シャドーイングは、日本人が弱い発音を強化してくれる最強のトレーニング法である。 英語は日本語に比べて音声が重要な言語だ。 発音を強化すれば、ネイティブ・スピーカーに理解しやすい英語を話すことができる。

また、自分で発音できない音は聞き取れない。 そのような音は脳が言語として認識してくれないからである。 発音を強化することは、リスニング力を向上させることになり、この因果関係は鉄壁と言っても良い。

【シャドーイングの効果】単語と文法の知識が脳内融合し、無意識に使えるようになる

シャドーイングは、単語と文法の知識が無意識に使えるようにするための最強のトレーニングである。

世界的にみて、日本人にど英文法ができる民族はいないとされる。下手をすればネイティブより、文法力があったりする。 これは、一重に受験英語のおかげなのだが、単語と文法の知識は豊富でも、会話に応用できない人が多いのが事実である。

なぜだか考えたことがあるだろうか。 その理由は、こういった高度な知識を使えるようトレーニングしていないからである。

逆を言えば、もとの原石が良い分、知識が使いこなせれば世界でもトップクラスの非ネイティブスピーカーに慣れる素質があるはずである。

シャドーイングは、この知識を生で使えるようにするトレーニングである。 トレーニングが進めば、シャドーイング中になぜ「過去形」を使うのか「三単現の“s”がないのはなぜか」など、いろいろなことに気づくようになる。 それが、単語と文法の知識が脳内で融合していく過程である。

【シャドーイングの効果】定型表現が使えるようなる

シャドーイングを繰り返し行うことにより、頻出する表現や言い回しを脳が覚えてしまい、普通に口から飛び出るようになる。つまり、普通に使えるようになるのだ。 結果、スピーキング力もライティング力も向上する。これは至極当然の結果である。

ただし、シャドーイングの素材を選ぶときに、自分が使えそうな表現が多く含まれた英文を使用しなければ、効果的に向上させることにはならない。シャドーイングの素材選びなどに悩んだら、「シャドテン」などをチェックしてみると良い。 例えば、通称Fワードのような汚い表現は、すぐに覚えてしまう。それは子供も大人も同じである。 このような表現が、使いこなせるようになっても、その英語を使う機会は限られるのが普通である。だから、適切な教材を選ぶことが大切なのだ。

英語が使えるようになるには、単語と文法と発音の知識を習得し、それらの知識を実践の場で自然に出るようにすることである。これらは意識して使うものではなく、無意識的に使えないとタイムラグが出て、自然にならない。

同時に、頻出する言い回しや表現は理屈ではなく、覚えこんでしまうことも大切である。 そうすれば、作文、文法などの処理を飛び越して、タイムラグなしに使えるからである。 なによりも、ネイティブ・スピーカーから見て自然な表現になり、会話に代表されるコミュニケーションの中身向上に繋がるからである。

まとめ

  • シャドーイングで、リスニングが鍛えられる
  • シャドーイングで、音声と意味を結びつける
  • シャドーイングで、単語と文法を無意識に使えるようにする