語彙を増やすだけで順調に「基礎力強化」ができる!
Jan 14, 2021/ 更新日:Apr 1, 2021
英単語の学習方法
誰もが、受験英語に少なからず触れることがあると思うが、「こんな難しい単語、まず使わないよ」というようなものに出会うことになる。例えば、哲学者でもないのにひたすら哲学用語を覚えていくのは苦痛でもある。
でも、心配する必要はない。ここでは「覚える」ということは極力避けて説明する。英単語は覚えるのではなく、ひたすら経験するだけで一通りは完成する。 大学受験のように、試験会場で完全に再現できるほど綿密に暗記してしまう必要はない。
経験するというのは、一度でも声に出して読み、書き、聞いたことがあるかどうかだけである。頭に入っているかどうかはこの際問題にしない。
単語は上辺だけをかじらないように心がけよ!
単語帳やスマホに表示された単語だけを見て、次々にページを捲っていくような学習に終止する必要はない。よくわからない単語は書いて、発音する程度までは触れておこう。目で眺めるだけだと、経験値としては少なすぎる。
英単語は「目」だけではなく、「耳」・「口」・「手」も使って体を使って学ぶと効果が上がる。これは脳科学研究の見地からもよく言われることである。 母国語ではない英語を学ぶのだから、この方法を取り入れない手はない。脳はあらゆる方向から刺激してやると、記憶が定着しやすくなる。つまり、すぐに頭から引き出せる状態を作り出せる。これは、英語の読む・聞く・書く・話す(いわゆる4技能)といった能力を向上させるためのコツにもなる。
英単語は目で見て理解できるだけでは不十分である。見て理解すること(「読む」)に加えて、「聞いて」理解でき、ネイティブが理解できるように発音でき(「話す」)、スペルを間違えないで「書ける」ようにしなければならない。英語の4技能の習得はここから始まるといっていい。
英単語の自動化トレーニング法
英単語を覚える際は、これらのトレーニングのうち、下記の8つを組み合わせて、繰り返し行うことで効率的に学習できる。
発音はおろそかにすべからず、一緒に覚えよ!
初心者の方が英単語トレーニングを行うとき、数をこなそうと、ひたすら書きまくったり、適当にでたらめな覚えやすい発音で、頭に叩き込もうとする傾向がある。
ある意味、受験勉強のような時間制限のある試験対策としてはやむを得ない面があるが、英語を身につけるという意味では非効率である。
全く、外国人と話す必要はない、英語を聞き取れる必要はあまりない、ただ読めて訳せればよいという状況なら、日本の受験勉強方法は最強である。事実、日本人がTOEIC、TOEFLなどの試験成績においても、文法に関しては世界最高レベルであることが伺える。
しかし、やはり英語を身につけるというのは「外国人と話す、意思疎通する」という意味合いが大きいはずである。特に近年では、ボイスチャットのみならず、Zoonに代表されるような遠隔ビデオ会議も普通になってしまったので、英語を発音し聞き取るという技能は、磨けば磨くほど仕事と人生が充実すると言っても過言ではない(あくまで、英語を身に着けたいという人を対象にした話である)。
ならば、単語を覚えるときは、意味に加えて、特に発音もしっかりと意識するのが効率的である。発音をすっ飛ばせば、一定期間に100語をマスターでき、発音を加えればその半分の効率になるとしても、発音は優先してマスターすべきである。
英語には日本語にはない発音が数多くあり、無理やり日本式の発音で補えば、英米人には通じない。そもそも、日本語を学んだような人でもない限り、英米人には日本式の発音を聞き取る技術がない。
ならば、われわれが英米式の発音を身に着けたほうが手っ取り早く、コミュニケーションできる。日本語にはない母音と子音を、自分でも無意識的に発音できるように声を出して繰り返し練習しよう。自分でも発音できるようになった単語は、必ず聞き取れる。その逆は真とはならないことも知っておこう。
発音と同時に、アクセント(ストレス)の位置も覚えよう。英単語には必ず強く発音するところ(アクセントの位置)がある。まれに、アクセントは後から学習するというような効率を考える人がいるが、実践ベースでは非効率でしかない。もしそう考えた人がいれば、まだ試験勉強のための学習を考えている可能性がある。要注意である。
余談ではあるが、インド式の英語というのも、何を発音しているのかわかりにくい。今後、インド人の活躍が激しくなると、インド式の発音というのもマスターせざるを得ない時代が来るかもしれない。
とにかく繰り返せ!暗記は後回しだ!
外国語を覚えるときのド基礎は反復することだ。 初心者は、この当たり前の作業を中途半端にしてしまう。 海外の有名な英国人女優が、なぜフランス人の役をネイティブだと思えるほど完璧にこなせるのかという質問に、「答えは簡単、繰り返し練習するだけよ」とサラッと答えていた。
この「繰り返し」は何回を意味するのか、それが問題である。セリフの長さにもよるとして、5分以内のセリフであれば、2千回前後の反復練習は当たり前である。
多くの初学者は、「もう50回も繰り返しましたが、覚えられません」と嘆くが、本業にしているプロ役者でもそんな程度ではどうにもならない。50回の100倍ぐらいは謙虚に反復してみよう。
余談ではあるが、プロ役者にもなると反復は500回以内、うまく行けば250回程度でなんとかなるらしい(アクターズ・スクールで何度か語られていました)。
英語においても、この基本が有効で、自分の知能に自身がなくても、この方法だけを癖つけてしまえば怖いものはなにもない。
とくかく、英単語を覚えるにしても、英文を覚えるにしても繰り返すのだ。 「見て」、「聞いて」、「発音して」、「書く」だけだ。常にどれかをやっていればいい。書くのが疲れたら、ひたすら喋ればいい。独り言のようにトイレに籠って喋ってもいい。 それも疲れたらひたすら聞けばいい。眠たくなったら、ひたすら字幕なしの映画でも見たらいい。 やらない理由は考えるだけ時間の無駄である。ひたすら繰り返すのだ。
知能の高い人に多いのだが、「繰り返す」ことに理由を見出したい人がいる。この傾向が この傾向が見えてきたら、要注意である。
英語学習において「繰り返し」は基本作業である。人で言えば「なぜ歩くのか」というような根本的な問いかけである。歩くのに理由などないはずだが、そんな問いかけがなされた途端「タバコを買いに行きたいから」などと、つじつまを合わせた理由を考えてしまう。
初学者には、このようなバカな自問自答は不要である。理由が必要なら、そもそも受験英語だけで、大学合格などの目的を達成してしまえば忘れてしまって良いものである。 ところが、自分の血肉として英語をマスターするには、このような問いかけ自体が、学習意欲を削ぎ、理由が見つからないからやらないなどの結論を導くことにもなりうるので、英語マスターを前提としている人は、無意味だということになる。
単語が覚えられないと嘆く人はどの時代にも大多数だ。 別に覚えなくていい。覚えたものを忘れるというのは、脳の浄化作用が働いているだけで極めて健全なことだ。脳のメモリカード要利用を節約するためにも、忘れることはなんの問題もない。
単語を一生懸命「暗記」しようする態度は諦めるべきた。短期間に集中して暗記したことは忘れやすい。百人一首や神経衰弱といったゲームを考えてみたらいい。
成長してからの、大人の脳は暗記が苦手ということがよく言われるが、私はこの手の意見には懐疑的である。事実、大人の脳でも年寄りの脳でも、ひたすら繰り返すことによって記憶に定着するということは知られている。一人よりけりで、繰り返し回数が多少前後するだけの差でしかない。
やってやるという意志さえあれば、以下のことを試してみればいい。 普段は使わないだろうと思える、専門用語をピックアップする。その手の言葉は、語源がラテン語やギリシア語のものもあるので、欧米人でも当然に使いこなせて発音できる程度のものではない。つまり、難単語ということになる。
例えば、”polysomnography”(終夜睡眠ポリグラフィ)という専門用語をピックアップしてみる。大人的には、「終夜睡眠ポリグラフィ」の意味と内容を調べてから、理解して英語では”polysomnography”と言うんだよと、脳に覚え込ませる作業をしたくなる。 その方が、脳が納得行くことが多いからだ。 しかし、この手のやり方はおすすめしない。単語数を稼ぎたい人にとては、まず馴染むことが大切で、繰り返して脳になじませることが最優先である。内容を理解しようと、あるいはざっと目を通そうとすると時間を不必要に消費するだけだ。 多くの人の場合、上の単語は「聞いたことある」程度の記憶で構わない。深入りする必要はまったくないのである。
なお、発音は https://ja.forvo.com/word/polysomnography/ で調べられる。
読んで、書けて、発音できて、聞き取れればいい。中身はわざわざ詳細に入る必要はない。英語ができるようになれば、中身がわからなければ、その中身を英語で専門家に質問することができる。医学生でもなければ、早い段階で深入りしなくて良い単語である。
もちろん、この手の専門用語を常識的に使う職種の人、この場合は医師になるが、中身を理解してから頭にいれるのが定石で、別にその方法を崩す必要はない。
自分が使いそうなフレーズと一緒に覚えると効率的!
この話のコアは、何個えるかというのは数千個覚えるというような意味のことではなく、1万5000個程度を覚え込むという意味である。約2万個ほどの単語力があれば、どのような難解な文章であっても、意味はわからなくても日本語訳程度は作れる。数千個しか記憶数がない人と比べて、機械的に処理できる部分が圧倒的に多く、受験には有利である。
最重要語2,000語の日本語の訳語を上記のやり方で一通り(80〜90%)覚えたら、2,001語目からの単語は例文で覚えていくことをお勧めする。
最重要語2,000語程度の単語の知識が入っていない段階では、例文で覚えることは逆に非効率になり得る。例文の中のほとんど全ての単語がわからなければ、何かと何かを関連づけて覚えるという、例文で単語を覚えるメリットが享受しにくくなるからだ。例文を理解することだけで終わってしまう可能性が高くなる。
最重要語2,000語程度を覚えたあとであれば、未知の単語を知っている最重要語と関連づけて覚えられるだけではなく、多くの例文に触れることにより、最重要語の色々な意味や使われ方も理解できるようになる。そして徐々に自分でも使えるようになっていく。
その際、自分が実際に使えそうなフレーズが多く含まれている例文を使用できればより効率的だ。覚えた単語を他のフレーズに使ってみたり、覚えたフレーズの単語を変えてみたりすることができれば、表現の幅をより広げることができ、「話す」・「書く」アウトプット時の流暢さを向上することもできる。
英単語を頭にいれるためのおすすめ独習教材
初心者のうちに経験してしまったほうが良い、私の独断で選んだ教材を紹介する。 実は、大学受験の合格体験記などでも頻出する書籍なので、何も私だけが特別変わったことを言っているわけではないことを付け加えておきたい。
また、大学受験生の場合、Z会などが奨励している「英文の中で単語を覚えよう」という方法があるが、一般的な人(英語を普通に活用したい人)はわざわざ意識する必要はない。 英文の中で覚えることは結構だが、圧倒的に単語数が少ないうちは、赤ん坊のように片っ端から、頭に刷り込んでいく方法のほうが手っ取り早く、反復しやすい。学者や英語の先生をやりたいのなら、人に説明するための理屈や屁理屈が必要になるが、英語活用を目的にするのであれば、理屈は後付でいい。
DUO 3.0
発売日が 2000年3月なので古いと思う人がいるかも知れないが、気にする必要はない。 この本は、ホントによくまとまっている。受験生で、いずれは英語を使えるようになりたいと考える人、学校を昔に卒業してから英語をやりたいと思う人、万人におすすめできる本である。
この書籍が発売されてから、大学受験専門の出版社などが、実践・実用を意識した参考書や問題集に力を入れ始めた経緯がある。後発のものは優れているところもあるが、内容は良くてもコンセプトがブレブレのものや、書籍の紙質に至るまでこだわりきったものがなく、実践を意識した独学用としては使い勝手の悪いものが多い。
「DUO 3.0」はいわば、先輩英語学習者の単語帳である。ページ全部を覚えるのでなく、青文字の部分だけをひたすら反復しても良い。 その作業があわれば、次に黒文字の部分を読んでみる、飽きたら、例文だけを読んでみるというような、部分かじりの方法で活用して構わない。
逆に、目的の1ページを覚えるまで次に進まないというような使い方には全く向かない。要点だけを抜書きしたものなので、活用方法は千差万別だが、ある程度学習が進んでからもう一度見てみると、書籍の価格以上に内容が深いことに気づくはずである(つまり、レベルは低くない)。
採用されている例文は、「米国の大学教授3名を含む15名のネイティヴと共に完成させた 「暗記する価値のある英文」」ということだが、どの例文も平易なので慣れてくると自然に頭に入るようになっている。もちろん、無理に覚える必要はない。
気に入ったら、書籍版と Kindle版を入手することをおすすめする。復習用 CDも、活用しよう。学習効率を上げるなら、書籍の方は複数あれば使いやすい。半年毎日使えば、書籍代とCD代のモト以上のものは得られる。同じ単語数と定着率は、同価格のスクールでは得られないと感じるはずである。
細かいことだが、書籍版は比較的摩耗には強いい感じの紙質である。私個人の意見だが、この本には、捨てるところがない
DUO(デュオ)セレクト: 厳選英単語・熟語1600
巷では、「DUO 3.0」が難しい人用と受け取られているが、たしかに DUO 3.0 をより使いやすくした感じがあるないようである。
2大英英辞典の基本定義語とほぼ一致しているという見出し語1,572語と熟語997を掲載。TOEIC780点レベル、英検準1級レベルが目標の方向け。CDと合わせると4千円以上と高い。