発音は5大要素を意識的に鍛えよ!
Jan 14, 2021/ 更新日:Feb 18, 2021
英語の発音の学習目標
単語と文法の学習を、実践的に身に着けていくには発音も同時に意識していくことだ。 このページを読んでいる多くの学習者は、とにかく英語を使えるようになりたいと考えているはずである。
Google 翻訳を使えば書いて読む程度のことは誤魔化しでなんとかなるが、人前で、あるいは個人的に話をしようとするときは、口を使って会話を行うしかない。チャット程度だと、絵文字を多用してごまかす程度に留まってしまう。つまり、会話をするには発音がある程度できない限りどうしようもないのである。
発音は日本人学習者にとって最重要課題にするべきなのだ。
発音学習の大切さを理解すること!
英語の発音を学習する上で最も大切なことは、英語を習得するには発音を学習する必要があるということを理解することだ。
言語の基本要素は「単語」「文法」「発音」の3つしかない。発音は単語と文法と同様、言語を習得する上で最も大切なものの1つであるにもかかわらず、日本の学校教育は発音を軽視しすぎている傾向にある。
著名な数学者の藤原正彦氏は「発音がネイティブ級に美しく、内容が空虚で何も残らない英語を話す人は、恥ずかしいカスである」と豪語しているが、一理あり最もだということは認めるけれども、それでも発音がネイティブ級ならば、コミュニケーションが取れるという技術があるという点を忘れてはならない。
むしろ、話す中身を重視しすぎて、相手とコミュニケーションを取る機会を減らしたり、喪失してしまうリスクの方も危惧すべきである。初心者のうちは、まして若者であれば、中身がなくても発音に邁進して、英語に慣れてしまうことが近道である。 これは多くの同時通訳者の経験談からも伺える経験則である。
なぜ発音が重要なのか?それは、英語の発音が日本語のそれとは全く異なるからだ。例えば、英語には日本語にはない発音が数多くある。日本人はそれらを正確に発音できないので、ネイティブに通じないということが起こる。そして、もっと大事なことは、発音できない音は聞き取れないということだ。英語を「話す」「聞く」能力を向上させるには、発音を学ぶことが必須だということを是非理解して頂きたい。
発音の5大要素を理解すること!
発音はネイティブを真似ることが原則である。 ただし、ネイティブにも当たり外れがあり、英国人だからといってきれいな英語を話すとは断言できるものではない。そのため、BBCを始めとする職業的プロのスピーカーの発音を真似るのが差し障りがない。
英語の発音の要素は下記のように5つある。最終的にはこれら全てを克服する必要があるのだが、まずは理解することから始めた方がよいだろう。
- 母音と子音
- 単語のアクセントの位置
- リズム(強弱)
- 音声変化(リエゾン)
- イントネーション(抑揚)
英語の母音は24、子音も24あると言われている。どちらも日本語より圧倒的に多い。日本人の発音がネイティブに通じない理由の一つだ。日本語にはない母音と子音を克服するには、まずは発音記号を理解することをお勧めする。難しいと思われがちなのだが、ほとんどがアルファベットと同じなので、学習すべきことはそれほど多くない。
単語のアクセントの位置については、単語を覚えるときに一緒に覚えるよう既に指摘した。
英語はリズムが大切だ。英語は、強くゆっくり発音されるところと、弱く速く発音されるところが交互にくることによって独特のリズムが発生する。英語はリズムよく発音しないと理解してもらえないのだ。 音声変化(リエゾン)は、日本人が英語を聞き取れない最大の理由だと言われている。音声変化とは、ネイティブが普通のスピードで発音すると、音と音がつながって単語が聞き取りづらくなる現象だ。「連結」「脱落」「同化」の3種類ある。詳細は「英語のリエゾン(リンキング)|3つの種類・詳細ルールと克服法」を参考にして頂きたい。
イントネーション(抑揚)とは、音の上げ下げのことだ。同じ文章でも、イントネーションを変えることによって意味やニュアンスを変えることが頻繁に行われる。日本語でもイントネーションの違いによって意味の違いを表現するが、英語は日本語に比べてより多くのことを表現できると言われている。詳細は「英語のイントネーション(抑揚)|基礎と応用15のルールで発音矯正」を参考にして頂きたい。
英語の発音の学習方法
大きな声を出して、しっかり自分の耳に届けて練習せよ!
使えるようになるための英語の学習の基本は、とにかく声を出すことにある。 発音の学習は声を出さないと、そもそも何も始ましもしない。 単語の学習でも、文法の学習でも、「口」を使って声に出しながら学習することを勧めてきた。忠興に出すだけでなく、正しい発音を意識して行うべきである。
発音自動化トレーニング
発音のトレーニングは今後も説明を続けることになるが、今回は最も重要な注意点のみをピックアップする。
ネイティブ・スピーカーの発音をまねること!
声を出すときには、最初はネイティブの発音をそっくりまねることだけに集中しよう。モノマネ、サルマネレベルで構わない。仕草や癖まで真似する必要はないのだが、そうすることで発音に身が入るなら、行うことに異存はない。
まずはネイティブの音源をじっくりと聴いてから、自分でもマネて発音してみる。発音のスピードや抑揚はしっかりマネてみることだ。 特にスピード、発音の加速感と言ったものは発音記号などには正確に表れない。そのため、耳で聴き、マネるのが最も近道なのである。
ゆっくりに感じるものも、実際に自分で発音してみるとついていけないものだ。スピードについていくためには、発音をなるべく正確にまねる必要がある。
発音は口の筋肉の動かし方が重要だ。英語を話すときは、まずは日本語のときに比べて口を大きく動かすことを意識するとうまくいく。 英語には日本語では動かさないような筋肉の動きが多いので、その独特の動かし方をじっくりマスターしよう。じっくり真似しようとするだけだ。唇と舌と顎の動きを意識して、ネイティブとそっくりに発音できるようになるまで繰り返し練習するのみである。
リズムとイントネーション、音声変化、母音・子音にまでこだわる!
文法のページでも説明しているが、初心者はリズムとイントネーションを意識するだけで、それとなく形になる。多くの非英語圏の初学者もそのようなテクニックを駆使して学習効率を上げている。
母音や子音などの細かい発音はあまり気にせず、強くゆっくり発音するところと、弱く速く発音するところ、そして音の上げ下げを意識しながら、ネイティブとそっくりに発音できるまで繰り返し練習するのだ。ズブの素人がこれをソコソコまでマスターするのにどれくらい時間がかかるかという点だが、数カ月はかかると覚悟しておくと良い。
モノマネの才能があれば、数時間でクリアできる人もいるとは思うが、基本的には体で覚えるまでトレーニングする類のものである。パイロットの総飛行時間と同じく、とにかく続けなければ到達できないものだと心得るべきだ。
リズムとイントネーションをある程度まねられるようになったら、次は音声変化を確認してみる。音声変化はリズムの「弱く速く」発音するところで起こりやすいので、その部分を特に意識してネイティブの発音をまねてみよう。
最後に個々の母音と子音の確認だ。
英語の発音を習得するにはこれを繰り返すことしかない。
英語の発音をトレーニングするためのオススメ教材
初心者が発音を独学するには、一番手を出しやすいものが書籍化された教材である。
多くの英語学習者が利用しているものなので、耳にタコができるぐらい聞いている教材かもしれないが、定番はやはりそれだけの価値はある。
英会話・ぜったい・音読【入門編】―英語の基礎回路を作る本
「同時通訳の神様」こと国弘正雄氏曰く、「勉強」するだけでは、使える英語は身につかない、スポーツ同様「練習」が必要だと語る本書は、TOEIC470点以下の人を対象とした音読教材の定番だ。 本書は、初級者のリスニング用として十分活用できるもので、入門としては使えるものである。ただし、テキストの例文内容が面白くないのが玉にキズと言える。 本書を利用しする方は、テキストの内容はともかく、ひたすら発音を鍛えたいという覚悟で臨もう。内容の面白みに拘る人は、他も検討しよう。
仕事で使えるMyフレーズ 中学英語だけで解決! 60シーン
本書は「英語を勉強してきたのに全然話せない」悩みを持つビジネスパーソンに合わせた「仕事の英語」入門書である。 学習参考書で著名なZ会の書籍ということで、アカデミック感が少し漂うが、そこは我慢しよう。 初級者用の英会話教材で、中学英語の範囲の単語と文法だけで、仕事で使える表現を学べるように作られている。音声ファイルも無料でダウンロードでき、初中級者用のリスニング教材として、独学用として利用したい教材である。
Business Venture 3/E 1 Student Book
外国人が英語を学習するときに、だいたいお世話になるOxford University Press(オックスフォード大学出版会)の教材。 本書は、会話演習用の教材になる。 内容は易しいのだが、リスニング用としては、ナチュラルスピードで会話が進むので易しいとは言い切れない。 CDに収録されている音声は、現実的にリスニングのトレーニングに適したスピードと発音になっている。
会話の内容そのものは大したことないので、物足りなさを感じるかもしれないが、ここはリスニングと発音を磨くための道具だと思って利用したい。