英語発音学習入門
Mar 2, 2021/ 更新日:Mar 2, 2021
発音とリスニング学習のコツの前に
英語学習において、発音がいかに重要かという点はここでは端折ることにする。要約すれば、英語の音を知らなければ、我々の脳が「言語である」と認識しないからである。ここでは、個々の音の出し方のコツ、音のつながりについての解釈、また体験談を含めてその他の発音の練習法などを紹介する(ただし、別記事になる)。
母音を子音につけてしまう癖を直すには?
日本人が気をつけなければ当たり前のようやってしまうのが、“start”という単語を“sutarto”というように発音する例である。 人名のMikeのことを“マイク”のように聞こえてしまうことは、多かれ少なかれ経験があるはずだ。「英会話に自信がある」人でも、この発音やリスニングの癖をなかなか取り除けず悩むのである。
もし「自分は問題ない」と自身があるなら、手持ちのスマホかICレコーダーに、自分の英語の声を録音してみると良い。ほとんどの人が自分の声を聞いて唖然となるのである(事実、私自身、今でもそうだ)。
そこで、子音が良くわからない、どうしても例のように母音をつけて発音してしまう、というケースに役に立つ矯正方法がある。 例の“Mike”の発音で、カタカナ読みした「マイク」のように発音してしまうくせがあるようなら、「マイク」ではなく「マイキ」と発音しようと意識するのだ。
意識したところで、いざ人前で「マイキ」と発音するのはあまりにもおかしく思うのか、「キ」と全部発音する直前の音が出される直前で無意識的に音を出すことをやめるようになる。 (一人で部屋などでやると、露骨に全て発音してしまう図々しさが出うるので、できる限り人前で恥をかくつもりで練習するのが良い)
その無意識的に「キ」の音を出しかけて、寸止めした感じが、ほぼほぼ現実に話されている英語の Mike の [k] の音である。
例のように、母音を子音につけて発音してしまう癖が残る人は、わざと違う母音をつけるくらいの強硬手段で矯正する方が、実際自分の耳にも不快に、ふざけて聞こえるので、本来不要な母音を取り除く手助けになる。
ただし、あくまで補助的な方法で、応急処置を含めた一時的な手段に過ぎない。 万能の方法ではなく、うまく行ったとしても、なんでもこの方法に頼るのは利口ではない。
されども、少しでもネイティブらしく発音できるようになれば、自分の脳がこれに満足し、より次の発音技術の高みを目指そうとする。そのための一手段である。
ネイティブの口真似で学ぶ
英語のスピーチの練習などをしていると、数分しかしていないのにどっと肉体的な疲れが押し寄せてきた経験はないだろうか(ここでは精神的な疲れは除く)。
子供の時の発音の際に、舌を丸める、上顎にくっつけるなどと、小さい子に説明してもよくわからないようなことを、グダクダ練習させられたことがある人は多いはずだ。 子供の頃はただの遊戯の一環だが、いい大人になって同じ練習をやってみると、とても疲れる。たとえが良いかどうかわからないが、一分間限定の腕立て伏せを限界までやらされたのと同じ感覚の疲れが来る。
日本語と比べて、英語は約3倍くらい口を動かして話されるという。そもそも、英米人は日本語を話す時とは異なる口の筋肉を使い、顔の周りの筋肉についても、日本語だけを話す人とは発達具合が違い、その結果、顔の表情が豊かだとされる。
本稿で言いたいのは、ネイティブの口真似をせよということだ。 英語を話して疲れるのは、英語を発話するための十分な顔の筋肉を発達させられていない可能性が高い。
口真似と言うと、なんかバカっぽいが、要は口の周りの筋トレをせよという意味である。アナウンサーなどのプロの発話者が地味にやっているものと大差ない。
口真似で、口の形とその口の形をした場合の舌の位置、というのは意外にも連動するのだ。そのため、口の動きがネイティブのようになると、舌の位置もその英語を発音するのに「正しい」位置にほぼほぼ動くことになるのだ。
こういった理由から、学習者は舌の位置がどうのこうのだとかの説明は参考程度にとどめて、テレビやビデオ教材の口の動きの真似を徹底することを強くおすすめする。
もちろん、口の動きのマネだけでなく、実際に口の動きに合わせて発音・発声することが大切である。そうすると、英語を発音するのに必要な口の周りの筋肉が鍛えられることになる。
筋肉が付けば、舌の動きも滑らかになる。 そうなってしまえば、口が動くようになるので、言いたいことが頭の中にあっても口の動きがついていかなくて、ものを言い切れないという、舌がもつれてはっきり言えないというケースが激減してくる。
そして、口の形と舌の位置は普通は連動するので、口の形と口の周りの動きがそっくりに真似できると、発音も自然とネイティブのようになってくる。 わかりやすく言えば、筋トレと同じ効果が期待できる。 余談だが、顔の筋肉が引き締まると、頭の回転も良くなるようである。これは、各自体感していただきたい。
慣れてくると、ビデオ等の動画教材ではなく、音をベースに真似る「シャドウイング」を行い、顔の筋肉の使い方をトレーニングすれば、学習が進む。
教材については、現在では様々なものが考えられる。 無料とはいかないが、趣味と合わせて行うなら、好みの映画俳優のセリフで、顔と口がアップで映し出されているシーンを真似るのが効果的だ。
体感してもらうと理解いただけるはずだが、このトレーニングは集中力が必要である。 効果の高さは保証するが、集中せずに適当に口を動かして時間をつぶすだけだと、逆効果だ。マネは徹底的に真似してナンボである。 八割程度のマネだと使い物にならない。九割超えまでマネできれば、やっと入門レベル。九割五分で費やした時間のモトがとれそう。九割九分以上完璧にできれば、英語でメシが食えるという感じだろうか。もちろん、九割九分の段階では、ネイティブスピーカーそのものが話しているようにマネできていなければならない。
くどいようだが、効果はてきめんに現れるトレーニング方法ではあるが、集中力を落とせば効果半減どころか、変な口の動かし方を身に付けるというマイナスになるリスクも負っている。 そのため、英語教師などが、この方法を生徒に強要するのはご法度である。生徒は英語の授業をやり過ごしているだけかもしれないからである。