使える「英語脳」を獲得せよ!

Jan 15, 2021/ 更新日:Feb 17, 2021

「英語脳」を獲得すれば、学習が進む

単語・文法・発音の基礎的な知識を得たら、今度はそれらを無意識的・自動的に使えるようにする必要がある。それが「英語脳」である。

英語の語順のまま自然に頭に入る!

英語を早く読んだり理解したりするコツは、文章の前から、英語の語順通りに頭に入れることである。学生時代の「返り読み、戻り訳」は、英語を使いこなすことを目的にする以上、とりあえず忘れてしまうのが良い。

誤解のないように言っておくが、「返り読み、戻り訳」は悪いものではなく、英語を日本語に直す高度なテクニックである。同時通訳などで、腕のいい翻訳者はこの技術をふんだんに活用している(つまり、使いこなすのが難しい技術でもある)。しかし、初心者の場合は、この技術については一旦、忘れてしまうのが手っ取り早い。

というのも、この「返り読み、戻り訳」を練習すれば、英語がそのまま日本語になってしまうので、「他人に日本語で説明できてしまう」技術が備わってしまい、英語ができるようなったと錯覚してしまうのだ。

それは、あくまで日本語に訳せる技術がついただけで、高度なものではあるにしても、実践的な討論や口喧嘩のときを考えてみても、発話までに半ステップ遅れてしまう欠点がある。 この技術は、目で読む文章などには応用がたやすく、受験英語などでは必須の技術ではあるが、会話で耳で聞く英語には活用が難しい。だからこそ、ベテランの同時通訳者でないと操れない技術でもある。

初心者の場合は、まず、この技術を磨くことが、英会話ができるようになることとは直結しない

英語を英語の順番通りに頭に入れるには、日本語に特化した「脳」と英語に特化した「脳」(英語脳)を分けて鍛えてやる必要がある。

その2つの領域は、別々に鍛えて構わないし、そのうち脳の中で交流も進み、状況に合わせて都合の良い方の脳を使おうとするようになる。

英語を訳さずに頭に入れる!

英語を使えるように、学習するときは、日本人らしく「正確な」日本語に訳せるようになること、日本語としても理解できるようになることを、目標にしてはならない。

日本人としての日本語は、歴史がありすぎでとても難解なものである。両言語で対応する言葉を探したり作り出したりするのは、学者や役人などにまかせて、学習者のときは英語は英語のまま頭に入れることを心がけるようにするのが望ましい。

英語を使えるようになるには、日本語を正確に訳せるようになることではなく、英語を英語のまま理解し、英語で考えたことを英語でそのまま話すことができてナンボである。

「持ち帰ってあとから回答いたします」では、日常会話すら成立しないのである。

そのため、できる限り日本語を介在させないように、英語をそのまま取り込むことが重要になってくる。 余談であるが、英語脳がある程度出来上がってくると、英語を話して考えているときは日本人的な態度を取らない自分に気づくことがある。普通は意識する人とあったら、お辞儀をするとかするべきなのだが、英語脳のときはいきなり握手を求めたりする自分がいる。 これはこれで問題なのかもしれないが、後から矯正が効くので、とりあえずはこの段階までたどり着くことを目指していただきたい。

補足のために言っておくが、英語の基礎力が足りなさすぎて日本語の力を借りなければどうにもならない人もいるはずだ。ベテランですら、特定の専門用語が飛び交う分野では、英語だけだと基礎知識不足でどうにもならないこともある。 その場合でも、「正確」な日本語を求めたり使おうとする必要はない。この点はきっちりしてはならない。具体的には、英語の語順のまま、特定の単語や表現だけを日本語化するくらいにとどめておくことである。

初心者の場合は、日本語化する部分が多くなりすぎるかもしれないが、そんなの始めのうちだけである。数ヶ月もすれば、脳ができてきて、日本語を書くのも面倒、そもそも日本語訳など要求されない限りやらなくなってしまう。

英語の音に慣れてしまえ!

言語というのは、人生の経験値みたいなもので、使っていれば経験値は増えるばかりだ。BBCなどのニュースを観ることができる環境にあれば、意識すれば英語の発音については、実際のところなんとでもなる。

意識下であれば、ネイティブとそっくりに発音できるところまでは、それほど難しくないはずである。 しかし、意識していなくても、普通に発音できるレベルを目指さなくてはならない。 寝言で口から出る英語が、英語の発音になっていれば、まさにそのレベルに到達したことになる。

意識せずとも、英語の音が出るようになるには、レーニングを繰り返すしかない。発音は、顎と舌と唇の動かし方が主なコツである。日本語にはない音を発音するときは、日本語を話す時とは違う筋肉の動かし方をしなければならない。

これは、スポーツと同じである。ボールを捉えるときに捉えることが目的なのか、パスを送ることが目的なのかによって、身体の動かし方は変わる。どういうときにどうすればいいというのは、簡単には説明しきれない。でも、練習していればそのまま体が覚えてしまう。

発音に関しては、理屈で考えている時間はもったいない。ひたすら練習して、真似するだけである。

「ネイティブとそっくりに発音できなくても、通じればいい」と発音を軽く考えてしまう人がいるはずだ。「わかりやすく、はっきりした英語で明確にわかりやすく発音できればよい」という理解は、大学受験などでは、その発想がむしろ重要だとも言える。

しかし、英語を実践的に使うには、発音はネイティブ級を目指したほうが良い。自分の脳内と身体にコピーできた発音は、そのまま使え、聞き取れる。曖昧にしか発音できない英語は、曖昧にしか聞き取れない。特に無声音などは、発音ができない人には聞き取るのが難しいものの一つである。 逆に、発音ができれば、わからない言葉でも聞き取れ、後からそのまま自分で発音してネイティブに意味を尋ねるのもよし、Siriやアレクサに聞いても答えてくれる。 辞書にそのまま入力して調べても良い。

英語脳鍛錬のトレーニング

英語脳作りには「英語の語順で頭に入れる」「英語を訳さずに英語のままわかる」「英語の音に慣れる」の3つを強化する必要がある。

これらは別々に行い性質のものではなく、同時にトレーニングできるものである。

トレーニングを行うときには、必ず「内容」と「発音」を意識するようにすることだ。内容を意識しながら行えば、「英語の語順で頭に入れる」ことと「英語のままわかる」ことに繋がる。一方で、発音を意識しながら行うと、「英語の音に慣れる」ことになる。

内容が込み入っている場合などは、「内容」か「発音」のどちらかを集中的に意識すれば良い。同時進行する2つのことを同時に意識することことは、普通は難しいので無理に行ってどちらつかずの状態になることだけはさけたい。

具体的なトレーニング方法としては、鉄板の音読とシャドーイングを徹底しよう。ベタな練習だが、継続して極めればこれだけで目的の9割以上は達成できる。